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貸宅地(底地)の相続コンサルティング

収益率が高く換金が容易な事業用不動産(アパートなど)や自用地(駐車場や自宅)を残して、貸宅地などの安い賃料で手間ばかりかかる不動産を、売却や物納により相続税の支払いに充てることができないだろうか・・・。

こんなお考えをお持ちの地主さんは多いことと思います。

しかし、そのためにはお元気なうちに整備すべきことがたくさんあります。何も整備しないと、いざというときに納税に充てたい貸宅地等の収益の悪い不良資産では相続税が納められず、残したい事業用不動産や自用地を売却して納税に回さなければならなくなります。
貸宅地などの収益が低い不良資産を、いつでも売却または物納できるよう事前に準備することが重要な生前対策の一つになります。

生前対策の種類
内 容
1.地代を相場へ値上げする 地代が相場より安いと物納できなく恐れがありますので、地代は少なくとも年間の固定資産税と都市計画税合計額の3倍~5倍(一般的な地代相場)を確保したいところです。
2.確定測量を行なう 確定測量とは、実測面積と登記面積を一致させること、すなわち公道面及び隣地境との境界を確定させて境界確認書(実測図面を添付)を締結し、境界標がなければ設置することをいいます。境界標の写真は測量図面ごとに整理し、借地権者毎に分筆登記を行ないます。 なお、隣地が分譲マンションの場合は管理組合の理事長が代表して境界確認書に署名捺印しますが、事後的に管理組合総会で境界確認書締結の承認を得て議事録のコピーをもらうようにします。
3.土地賃貸借契約書を整備する 確定測量面積及び分筆登記後の不動産表示で土地賃貸借契約書を差し替えます。地主にとって著しく不利になる特約、たとえば「向こう○年間増改築は自由とする」「建替えの承諾料は請求しない」「向こう○年間は地代を値上げしない」等です。また、土地賃貸借契約書には、必ず「無断増改築の禁止」「借地権の無断譲渡及び転貸の禁止」の条項を規定します。
4.境界塀の所有者を確認する 境界塀が隣地へ越境せずに借地内に存在し、境界塀が借地人さん単独所有であれば特に問題はありませんが、境界塀を隣地の方と共同設置している場合は、物納に必要な所定の「工作物等の越境の是正に関する確約書」等を、境界塀を設置した当事者から署名捺印をもらいます。
5.隣地からの越境物を確認する 隣地から建物の一部や工作物等が越境している場合、物納に必要な所定の「工作物等の越境の是正に関する確約書」等を、越境している当事者から署名捺印をもらいます。 隣地から樹木の枝や根が越境して敷地内に入り込んで来ている場合、隣地の方に伐採をしていただきます。
6.再建築できない土地を整備する 再建築できない土地(物納劣後財産)は、原則として物納できません。隣地の買収や等価交換、契約による地形変更合意等、隣地利用者との間で再建築できるよう権利調整が可能であれば整備します。権利調整がうまくいかなければ、安くても借地人さんや隣地の方へ底地を売ることも検討したほうがよいかもしれません。
7.底地権を借地人へ売却する 地主の底地権を借地人へ売却して得た資金で、収益のより高いアパート等の収益物件へと資産を組み替えたり、将来の遺産分割資金や納税資金の一部に充てる方法です。
8.借地権を地主が買取る 借地人さんが地主の許可を得て借地権を第三者へ売却する場合、もらっている地代の額の高い安いも影響しますが、一般的に更地価格の50%以下の金額でしか売れません。この中から借地人さんが地主へ借地権譲渡承諾料や建替え承諾料を支払えば、実質的な借地人さんの手取りは更地価格の40%以下になってしまいます。借地人さんが借地権を手放したいと申し出たとき、地主としては更地価格の40%以下の金額で買えれば損することは少ないでしょう。
9.地主と借地人が等価交換して土地を分ける 分割可能な一定の広さがある貸宅地について、地主と借地人が合意した地形や割合で分割し、それぞれが完全な所有権で取得して借地契約関係を終了させるものです。分割した土地のそれぞれの借地権と底地権を交換する方法です。 等価交換によって貸宅地の一部が更地で戻ってくれば、地主にとって有効活用や更地物納・売却等、将来の選択肢が増えます。
10.地主の底地権と借地人の借地権を同時に(一緒に)売却して金銭で分配する 底地権または借地権を単独で第三者へ売却する場合、かなり安い価格でしか売れませんが、同時に(一緒に)売却すれば妥当な価格で売ることができます。 ただし、トラブルを避けるため、売却斡旋前に地主と借地人の間で事前に売買斡旋金額と地主と借地人のお金の取り分(権利割合)等の諸条件を書面で合意します。
11.地主と借地人とディベロッパーの三者でマンションやビルを建てる 既成市街地で建蔽率・容積率が高くマンション等の高層建物が立つのに借地権が存在するため有効利用できていない場合の解決手法です。ディベロッパーに建設資金を出してもらい地主と借地人は一緒に土地を提供して三者共同で中高層耐火建物を建て、地主と借地人とディベロッパーはそれぞれ権利に見合った部屋数と敷地権を取得します。 借地人さんが土地の価値に見合う更新料や地代が払えない場合に有効な方法です。地主・借地人双方にとって建築コストをかけずに収益性を向上させることができます。
貸宅地(底地)の相続処理

物納制度の改正(平成18年4月1日以降の相続開始分につき適用)で新たに物納整備期間(最長1年間)が創設されたことよって、物納整備に1年以上かかってしまうために物納申請が却下されてしまう可能性が出てきました。
もし、物納整備をほとんどしていない方は、相続開始後相続税申告前にできるだけ早く確定測量を実施し、売却か物納かを的確にかつ早急に判断し実行しなければなりません。
また、物納制度の改正により、相続税申告後、物納整備に時間がかかればかかるほど利子税がかかるようになりました。 ということは、測量事務所の作業が遅ければ測量遅延に伴う利子税がかさみます。
物納整備会社のスキルが未熟で対応が遅ければ、できたであろう物納が却下されてしまうことが考えられます。
相続税に強い会計事務所に頼むかどうかで相続税額も変わってくる可能性があります。

ですから、測量事務所、物納コンサルタント会社、会計事務所の選定は非常に重要です。 貸宅地の生前対策をしていなければ納税方法をじっくり選択できる時間的余裕はなく、売却を優先して金銭納付し、相続税に足りない分を延納(分割払い)し、物納にするという処理になるでしょう。
貸宅地(底地)Q&A

Q1.
借地人が地代を払わないのだが、どうしたらよいか?
A.
地代の支払いが滞りがちな段階では、滞納額と滞納期間、地代の領収日と領収額等をきちんと記録し、口頭でも借地人さんにお支払いいただくように促してください。書面で督促したときは、その書面も保管してください。督促しても2、3年地代を滞納している場合は借地契約を無償解除できる可能性が高くなりますので、独断せずにすぐ専門家に相談すべきです。

Q2.
地代の値上げに反対し長年供託している借地人にどのように対処したらよいか?
A.
供託しているとつい地代の値上げ請求が億劫になりがちです。しかし何もしないまま放置すれば、地代は近隣よりもどんどん安くなる、物納できなくなる等、事態はより悪化します。地代の相場は一般的に固定資産税都市計画税の3倍以上といわれておりますので、これより地代が低ければ供託されていても内容証明郵便で相場への値上げのお願いを明確に通知しておくべきです。
供託された地代を引き出す場合は、借地人さんへ事前に内容証明郵便(配達証明付き)にて「賃料の一部として領収する」旨必ず通知してください。

Q3.
資力があるのに更新料を払わないと主張する借地人にはどう対処したらよいか?
A.
10人いれば必ず1人や2人ゴネる人がいるものです。借地人さんに資力がない場合は、更新料の分割払い等いくつか対処法があるのですが、払える資力があるのに払う意思がない借地人さんには交渉において心理的に屈しない姿勢が大切です。

Q4.
現金と貸宅地を相続したが、物納を優先することができるでしょうか?
A.
相続税は、現金納付が原則とされます。納付可能な現金が相続税に足らなければ一部物納が認められることはありますが、相続人の年収が高く、相続税の分割納付が可能と判断される場合は物納できません。

Q5.
自宅・駐車場・貸宅地・アパート・貸家を相続しましたが、貸宅地・アパート・貸家を優先して物納に充てることができるでしょうか?
A.
貸宅地・アパート・貸家の物納を優先させることはできます。しかし、駐車場等の更地より物納整備事項が多く難易度が高くなりますし、アパート・貸家を物納するためには入居者の立退きができない場合は入居者付で物納後国との間でサブリースをしてもらえる会社をあらかじめ探して所有権物納します。

Q6.
土地賃貸借契約書に無断増改築禁止の特約がない場合、地主に無断で増改築をすることができるでしょうか?
A.
地主の許可がなくても借地人さんは建替えや増築が原則として自由にできます。ただし、建蔽率・容積率違反の増築は認められません。

Q7.
土地賃貸借契約書に無断増改築禁止の特約がある場合、地主に無断で建物の修繕をすることができるでしょうか?
A.
地主の許可がなくても借地上の建物について行なう修繕もしくは補修工事は、建物の保存行為に該当する限り、法律的には借地人さんは自由に行なうことができます。修繕もしくは補修工事とは、たとえば雨漏り防止を目的とした外壁塗装・吹付けや屋根の張替え工事、内装のリフォーム工事などをさします。しかし、地主さんによっては建物の手直し工事に神経質な方もいらっしゃいますので、誤解がないよう地主さんに工事内容を事前に知らせて承諾をもらってから工事を進めたほうが無難です。

Q8.
借地人が借地権付で建物を地主に無断で譲渡しました。土地賃貸借契約を
解除することができるでしょうか?

A.
借地人さんが相続発生により借地権を相続取得した場合は無断譲渡にあたらず、契約を解除することができません。第三者へ譲渡した場合は無断譲渡にあたり、賃貸借契約を解除することができます。

Q9.
借地人が借地権を売りたいと申し出てきました。どんな点に注意したらよいでしょうか?
A.
借地権の市場価格は高くありません。地主さんが借地権の買取りを希望する場合は、低い市場価格から借地人さんが第三者へ譲渡した場合に本来地主さんへ払うはずだった承諾料を引いた金額で買取るべきでしょう。しかし、地主が買取らず、第三者へ借地権を売却することを承諾する場合には、必ず事前に借地権譲渡承諾書を作成し、その中で借地権譲渡承諾料・建替え承諾料の額、地代の額(安ければ相場以上に値上げすること)、地主が指定する土地賃貸借契約書を締結すること、承諾書の有効期限、等必要な条件を必ず明記するべきです。

Q10.
借地人が借地契約の継続を希望しているのに、契約を更新しないで立退いてもらいたい。どうすればよいでしょうか?
A.
結論をいえば、借地人さんの意志に反して立ち退いてもらうことはできません。借地人さんが納得する条件をよく話し合って、妥協点を探ります。

Q11.
借地人が借地権を第三者へ売却を希望する場合、地主が拒否することができるでしょうか?
A.
借地権は、地主の承諾が無ければ譲渡できません。地主と借地人さんとの間で借地権譲渡について合意に至らなければ、地主の承諾に代わる裁判制度(借地非訟)が設けられており、裁判所は借地条件の変更や承諾料の支払いを借地人に命じることができるようにして、両者の利害を調整します。この場合、どうしても地主が借地権を取得したいなら、他に優先して地主に買取る権利があります(「介入権」といいます)。買取価格は裁判所が公平に決めますが、借地権価格から借地権譲渡承諾料程度を控除した額になることが多いようです。

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